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遺言の方法について

自筆証書による遺言

遺言者が自筆で作成した遺言です。全文と遺言した日の日付、氏名を自筆し、押印しなければなりません。印鑑は実印でなくても構いません。この遺言は、自分の手で書くことが要件となるため、他人の代筆はもとより、ワープロやパソコン等で作ったものは無効となります。

ただし、例外的に自筆証書に相続財産の全部または一部の目録(「財産目録」といいます)を添付するときは、その目録については自書しなくてもよいことになります。この場合、その財産目録の各頁に署名押印をする必要があります。

また、日付は「年月日」を書くのが普通ですが、遺言書を作った日が確定できれば「還暦の日」等の記載でも差し支えありません。
遺言書は封筒に入れて封印し、保管しましょう。

公正証書による遺言

公証人の面前で遺言の内容を述べ、公証人がこれに従って書面を作成したものが、公正証書による遺言です。具体的には、以下の手続きをとります。

1.二人以上の資格のある証人が立ち会う
2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で述べる
3.公証人がその趣旨を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせるか、筆記したものを閲覧させる
4.公証人が筆記したことが正確であると、遺言者と証人が認めたあとで各自署名・押印をする

遺言者が署名できないときは、公証人がその理由を付記して署名・押印します。最後に、公証人が1~4の手続きを行い作成したものであることを付記して、署名・押印をします。遺言の原本は公証人役場に保管されます。

秘密証書による遺言

遺言の存在を証明しながら、その内容を遺言者以外、秘密にした遺言です。秘密証書によって遺言するためには、次の手続きが必要です。

1.遺言者が遺言証書を作り(代筆でもよい)、署名・押印する
2.その証書を封筒に入れて封をし、証書に押したものと同じ印鑑で封印する
3.この封書を公証人に差し出し、自らの遺言書であることと自分の氏名、住所を申し述べる(このとき二人以上の資格のある証人の立ち会いが必要)
4.公証人は、封書の差し出された日付と遺言者が申し述べた事柄をその封書に書きとめ、遺言者および証人とともに署名・押印する

遺言の撤回

遺言は死ぬまでに何度でも作り直すことができます。そのため、一番新しい日付のものが、遺言としての効力を持つことになります。遺言をした者は、何らかの理由なく、遺言の全部または一部を撤回することができます。この撤回も法律で定められた遺言の方式に従って行わなければなりません。

しかし、撤回の方式は前にした遺言の方式と同じである必要はありません。たとえば、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能です。また、遺言者が遺言書をわざと破棄したときは、その破棄した部分については撤回したものとして取り扱います。

遺言書の書き方 一例

自筆証書遺言の書き方として、一般的な例を掲載しております。ぜひ、ご参考ください。
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遺言者○○は、次のとおり遺言する。

第一条 遺言者は、遺言者の所有する次の財産を妻○○(昭和○○年○月○日生)に相続させる。

1.土地
所  在 ○○県○○市○○町○丁目
地  番 ○○番
地  目 宅 地
地  積 ○○○・○○平方メートル

2.建物
所  在 ○○県○○市○○町○丁目○○番地
家屋番号 ○○番
種  類 居 宅
構  造 木造瓦葺二階建
床面積一階○○・○○平方メートル
二階○○・○○平方メートル

3.ゆうちょ銀行(○○郵便局)にある遺言者名義の貯金

第二条 遺言者は、遺言者の所有する次の財産を、長男○○(昭和○○年○月○日生)に相続させる。

1.土地
所  在 ○○県○○市○○町○丁目
地  番 ○○番
地  目 宅 地
地  積 ○○○○・○○平方メートル

2.建物
所  在 ○○県○○市○○町○丁目○○番地
家屋番号 ○○番
種  類 工 場
構  造 鉄骨造陸屋二階建
床面積 一階○○○・○○平方メートル
    二階○○○・○○平方メートル

3.株式会社○○○○の株式のうち、遺言者が有する○○○株を全部。

4.上記2に記載された建物内にある機械類、その他の動産一切

5.○○銀行○○支店にある遺言者名義の預金
6.○○証券を通じて購入している遺言者名義の投資信託

第三条 遺言者は、前2条記載の財産を除く遺言者の有する不動産、預貯金、現金その他一切の財産を、長女○○(昭和○○年○月○日生)に相続させる。

第四条 遺言者は、遺言者の借入金、その他未払債務、公租公課の支払を長男○○に負担させる。

第五条 遺言者は、この遺言の執行者として、○○県○○市△△町○丁目○番○号司法書士○○氏を指定する。

令和○○年○月○日
○○県○○市○○町○丁目○番○号
遺言者 ○○○○(印)

注意点

上記は、自筆証書遺言の見本です。全文を自分で手書きし、忘れずに日付と氏名を書き入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印の方がいいでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、信頼できる身近な人に預けておくといいでしょう。
書き間違えた場合、民法で定められている厳格な方法で訂正しなければなりません。これを守らないと無効になります。全文を書き直した方が無難だといえます。遺言の内容はいつでも何度でも変更できます。新しい遺言書を書き直すだけで、それが優先されることになります。
信頼できる人を遺言執行者として「遺言執行者に○○を指定する」の一節を、ぜひ書き入れておきましょう。

※遺言書の中の文字を書き加えたり削除したり、そのほか変更したりしたときは、必ず、遺言者は「第何行目の第何字を何字削り、何字加える」というように、変更した場所を指示し、変更したことを付記したあとに署名し、そのうえ、変更した場所に押印しなければなりません。

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